自律型人材育成|株式会社マネジメントバイフィロソフィア

自衛隊に学ぶ「人が育つ組織」の条件―軍隊式と心理的安全性は、なぜ両立するのか(長文、約5000字)

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【MBP】世界のMJ通信

【自律型で、生きていく】

<2026.9.2号 Vol.077>

※毎週水曜日11時に発行

 

自衛隊に学ぶ「人が育つ組織」の条件

軍隊式と心理的安全性は、なぜ両立するのか

(長文、約5000字)

 

株式会社マネジメントバイフィロソフィア

 

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■<1>MJの近況

■<2>

自衛隊に学ぶ「人が育つ組織」の条件

軍隊式と心理的安全性は、なぜ両立するのか

(長文、約5000字)

■<3>編集後記&お知らせ

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■<1>MJの近況

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今週は、わたしが代表を務める

中小企業診断士の研究会

 

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一般社団法人東京都中小企業診断士協会

城南支部認定

人材育成・組織開発研究会 通称「もや研」

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の8月度定例会として

元自衛隊の幹部の方から

 

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リーダー(経営者)を孤独から救う

幕僚(No.2)の育て⽅

=================

というテーマでお話をお伺いする

機会に恵まれました。

 

そこでのお話は、率直に申し上げて

目からウロコの連続でした。

組織人事コンサルタントとして

より知見を深めることができました。

 

================

一言で言うと:自衛隊は

「組織論の完成形」の一つであり、

「組織の目的」を果たすために

「人材育成」は必須の機能である

================

 

そこに民間企業の学びがある。

今回はそんなお話です。

 

文章は約5000字と長めです。

本日の結論を先に記載します。

 

これは自衛隊のみならず民間企業も同じ、

【組織論の原理原則】です。

 

総括:

「強い組織」とは、

強い人に依存する組織ではない。

人を見極め、任せ、支え、育て、

育てられた人がまた次の人を育てていく。

その連鎖を仕組みとして持つ組織である。

 

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■<2>

自衛隊に学ぶ「人が育つ組織」の条件

軍隊式と心理的安全性は、なぜ両立するのか

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目次:

■その0:軍事組織の目的、民間企業の目的

■その1:自衛隊という組織は「組織の目的を達成するための仕組み」が極めて高度に設計されている

■その2:心理的安全という言葉が自衛隊の人材育成の文脈で普通に出てくる

■その3:「軍隊式」と「心理的安全性」は対立しない

■その4:人材育成の核心【覚悟と情愛】

■その5:民間企業が学ぶべき「育成と登用の原点」

 

以下に、

今回当方が得た学びや気づきにつき、

機密を侵さない範囲において

抽象度を高め、項目ごとに記載します。

 

 

■その0:軍事組織の目的、民間企業の目的

「自衛隊は軍隊か?」という議論は

さておき、日本を含む各国において

軍事組織の目的はシンプルです。

 

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国家と国民の安全を守り、

国家の意思を実現するために、

必要な軍事力を準備し、

必要時に行使すること

===============

※当方の解釈です

 

では、なぜ民間企業の

組織・人材マネジメントは

うまくいかないのか?

 

なぜ組織の随所で機能不全が起きるのか?

 

なぜ管理職はプレイヤーのまま

トラブルシューティングに追われるのか?

 

今回のお話を通じて、少なくとも2つの

大きな要因が改めて腹落ちしました。

=================

1.「組織の目的」が曖昧なまま扱われる

2.「人材育成」も中途半端になる

=================

 

昨今はパーパス経営が流行っていますが、

パーパス経営は単なる言葉遊びでは

ありません。

 

「組織の存在目的」そのものであり、

「最上位の規律」でもあります。

 

 

■その1:自衛隊という組織は

「組織の目的を達成するための仕組み」が

極めて高度に設計されている

 

当然ながら自衛隊には

明確な指揮命令系統があります。

階級があり、役割があり、

責任と権限があります。

 

それぞれの隊員についても

「何ができる人なのか」が

明確に定義されます。

 

その一つがMOS

(Military Occupational Specialty)

と呼ばれる考え方です。

 

簡単に言えば

================

その人がどの任務を遂行できるのか

================

を示す職務・技能の体系です。

 

民間企業でいうところの

スキルマトリクスにも似ていますが

より具体かつ実務に直結しています。

 

能力要件を明確にし、

教育を行い、

実技や訓練で確認し、

現場で経験を積ませ、

継続的に評価する。

 

そして、その評価を

次の教育や配置へとつなげる。

 

つまり、

==============

人材要件

教育

評価

配置

実践

さらなる育成

==============

が一つのシステムとして

つながっています。

 

民間企業にとっても非常に示唆深いです。

 

民間企業では往々にして、

研修は人材開発部門。

人事評価は上司。

配置は人事部。

事業計画は経営企画。

現場運営は各部門。

 

というように

それぞれが分断されています。

 

一方、自衛隊ではすべてが

==============

「任務を達成するため」

==============

という組織の目的につながっています。

 

 

■その2:心理的安全という言葉が

自衛隊の人材育成の文脈で普通に出てくる

 

わたしは

『自律型人材育成マネジメント

軍隊式と心理的安全を統合し、

「人が辞める会社」から

「人が成長する会社」へ(セルバ出版)』

という書籍を2025年に上梓しておりますが、

 

そんなわたし自身、

軍隊式とは何か?を

再考させられました。

 

・命令

・規律

・上下関係

・トップダウン

これらは当然あります。

 

しかし、実際には

・明確な意図を示す

・上司の考えに共感してもらう

・自発的な行動を促す

・自主裁量の余地を与える

・失敗を許容する

・必要なときは上司がフォローする

といった「考え方」と

「行動様式」が徹底されています。

 

「心理的安全」とは

甘やかすことではなく、

規律を守らなくてもいい

ということではありません。

 

心理的安全性とは、

要求水準を下げることではなく、

高い要求水準に、

安心して挑戦できる

状態をつくることです。

 

守るべき規律は明確にする。

その内側では、大胆に裁量を与える。

 

上司は上司としての器があり、

挑戦の結果の失敗は受容される。

 

それこそが「真の心理的安全」では

ないでしょうか?

 

 

■その3:「軍隊式」と「心理的安全性」は対立しない

「軍隊式」が担うのは

・目的の明確化

・役割の明確化

・責任と権限

・共通の手順

・規律

 

「心理的安全性」が担うのは

・異論を言える

・困っていると言える

・失敗を隠さない

・挑戦できる

・そして見捨てられない

 

両者が揃うからこそ

==============

高い「規律」と高い「自律」

==============

が両立します。

 

今回のお話の中で

とりわけ印象に残った

上司の言葉があります。

 

================

「責任は、すべて私が取る」

================

 

部下に難しい任務を任せる。

しかし、任せた結果として

問題が起きたときに

「君に任せたのだから君の責任だ」

とは言わない。

 

最終的な責任は

上司である自分が引き受ける。

 

そのうえで

「君を信頼している」

「自分の職責で考えてやりなさい」

と裁量を渡す。

 

これは単なる権限移譲ではありません。

 

==================

上司が「責任」を引き受けるからこそ

部下は「裁量」を引き受けられる

==================

ということと理解しました。

 

そして、部下が迷ったときにも、

すぐに答えを教えるのではありません。

「そもそも、われわれの任務は

何だったのか」と目的に立ち返らせる。

 

つまり、

==================

自律型人材とは、迷わない人ではない。

迷ったときに、自ら目的へ立ち返り、

再び考え、動き出せる人である。

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ということなのだと思います。

 

これは民間企業の人材育成にも

そのまま通じる原理です。

 

 

■その4:人材育成の核心【覚悟と情愛】

終盤で、講師の方がおっしゃった

2つの言葉が強く心に残りました。

 

===============

育てられた経験は、一生消えない

===============

 

そして、

===============

育てられた経験がある人は、

次の人も育てる

===============

 

わたしもそうです。

これまで育てていただいた

経験や記憶は、一生消えません。

 

その人たちへの恩義は一生忘れないし、

受けた恩義は亡くなった方や先達には

返しきれないからこそ、

次の人に返していきます。

 

人材育成というと

制度、研修、スキル、評価といった

「仕組み」側の話になりがちです。

 

もちろん、それらは重要です。

しかし、最後に人を育てるのは

==============

「覚悟」と「情愛」

==============

です。

 

これもわたしの言葉ではなく、

講師の方が仰っていた言葉です。

 

これを言い切れる人、

やり切れる人が

果たして民間企業のマネージャーに

どれくらいいるでしょうか?

 

覚悟とは、難しい仕事を任せ、

最後は自分が責任を取ること。

 

情愛とは、厳しく任せながらも

決して見捨てず、信じ、

必要なときには支えること。

 

人は、教えられた内容以上に

==================

「自分を信じて任せてもらった経験」

==================

を覚えているのではないでしょうか。

 

そして、その経験を持つ人が

やがて次の誰かを育てていく。

 

人材育成とは、知識やスキルを

継承することだけではなく、

==================

「人を育てる人」を育てること

==================

でもあるのだと思います。

 

山本五十六連合艦隊司令長官の

名言が自然と浮かびます。

 

やってみせ

言って聞かせて

させてみて

ほめてやらねば

人は動かじ。

 

話し合い

耳を傾け

承認し

任せてやらねば

人は育たず。

 

やっている

姿を感謝で見守って

信頼せねば

人は実らず。

 

わたしは長年、人材育成や組織変革の

仕事に従事していますが、

 

山本五十六の金言を押さえておけば

十分であり、すべてのマネージャーが

この通りにやり切れるのなら、

わたしの仕事は不要と思っています。

 

すなわち、「人材育成」とは

かくもシンプルなのだと思います。

 

シンプルであるがゆえに

もっとも難しいとも言えます。

 

やるべきことがわかっていても、

それをやり切れるかどうかは

別の話ですから。

 

 

■その5:民間企業が学ぶべき「育成と登用の原点」

最後に、講師の方にどうしても聞いてみたい

質問があったので、2つほど質問しました。

 

少なくとも今回のお話を伺った限りでは、

上位のポジションに就くまでには

長期間にわたる教育・実践・評価の

蓄積があり、「人としての器」を含めて

多面的に見極める仕組みが存在している

という印象を受けました。

 

わたしが聞いた範囲での理解ですが、

「トップの器」ではない人物が

当該ポジションにつくことはないそうです。

 

それは、そう言わしめるだけの

仕組みが、「仕組み」として成立して

いるからであると感じました。

 

===============

ものすごくシンプルにいうと

OJTとOff-JTと実践が循環する

仕組みが成立しているためです

===============

 

自衛隊では、人材育成と人材登用が

極めて長い時間軸で設計されています。

 

適性を見極め(適性検査の実施)

一定期間の教育を行い(Off-JT)

実践の場を与え(OJT)

その行動を継続的に観察し、評価する。

そして、その結果を

次の教育や配置、登用へとつなげていく。

 

つまり

==================

OJT×Off-JT×実践×継続的な評価

==================

が循環しています。

 

では、民間企業ではどうでしょうか?

 

御社では

「業績が高いから」

「年次が来たから」

「周囲から評価されているから」

「他にやる人がいないから」

といった理由だけで、

管理職や経営幹部へ

登用していませんか?

 

その結果、後になって火を噴く事例は

枚挙にいとまがありません。

 

管理職や経営者に求められるのは

プレイヤーとしての能力だけでは

ありません。

 

人を育てる力。

責任を引き受ける覚悟。

他者の意見に耳を傾ける度量。

そして、組織全体を背負う器。

すなわち人としての器、

人間力そのものが求められるのです。

 

人としての器、人間力を、

複数の場面で、

時間をかけて見極める。

 

これが仕組みとして成立しているのが

「自衛隊」という組織である。

 

少なくとも今回のお話からは

それが仕組みとして成立しているのが

「自衛隊」という組織であると捉えました。

 

これは役員サクセッションや

次世代幹部育成を考えるうえで、

民間企業こそ改めて原点に還る

必要があるテーマであると感じます。

 

総括(再掲):

強い組織とは、強い人に依存する

組織ではない。

人を見極め、任せ、支え、育て、

育てられた人がまた次の人を育てていく。

その連鎖を仕組みとして持つ組織である。

 

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■<3>編集後記&お知らせ

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近況でも書いたとおり、

今回のお話は目からウロコの連続でした。

 

東京都中小企業診断士協会

城南支部の

人材育成・組織開発研究会では

会員それぞれが知見を持ち寄って

組織人事領域に関する知見を深めつつ、

このような形で外部の方との交流を通して、

思考の枠外にある領域からも

「知の探索」を行っています。

 

当会は2025年10月に正式に発足し、

発足時に以下の目的を設定しました。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

第2条 研究会の目的

人口急減時代を迎えた

日本社会においては、

業種・業態や規模にかかわらず、

すべての企業にとって人事に関する戦略

(人材確保・人材育成・人材定着等)は

経営戦略と分断されたものではなく、

むしろ経営戦略の

一丁目一番地であると言える。

 

また、VUCAやBANI、

生成AI時代にあって、人材育成や

組織開発領域に関する価値観は、

新たなパラダイムへとシフトしている。

 

どの企業においても、最も重要な

経営資源である「ヒト」なくしては、

企業経営は成り立たない。

 

「人が辞め、組織運営が

成り立たなくなる会社」から、

「人が成長し、人が集まる会社」への

支援は急務である。

 

本会は、会員相互の研鑽と

コミュニケーション活動、実践を通じて、

コンサルタントとしての理念や

価値観の共有化を図り、人と組織、

そして日本社会に明るい未来を

灯し続けることを目的とする。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

本研究会の活動にご興味がおありの方は

下記の問い合わせフォームに

ご連絡ください。

追って当方あるいは事務局より

ご連絡させていただきます。

※東京都中小企業診断士協会の

会員であることが研究会の

参加条件となります(原則)

 

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企業を中心に

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