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【MBP】世界のMJ通信
【自律型で、生きていく】
<2025.8.27号 Vol.027>
※毎週水曜日11時に発行
【超重要】日本的マネジメント史の
100年とこれからの組織設計_その2
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自律型人材育成マネジメント
軍隊式と心理的安全を統合し、「人が辞める会社」から「人が成長する会社」へ
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■<1>MJの近況
■<2>【超重要】日本的マネジメント史の
100年とこれからの組織設計_その2
■<3>編集後記&お知らせ
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■<1>MJの近況
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夏休みの終盤、
神奈川県にある日本最大級の観光地に
視察に行ってきました。
来年以降、本格的に当社事業としても
リトリートや旅を展開していきたいので、
しっかりと構想を固めたいですね。
構想を固めたら、トライ&エラーで
小さく始めて大きく育てていきます。
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■<2>【超重要】日本的マネジメント史の
100年とこれからの組織設計_その2
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本日のコラムの想定読者:
・企業の経営者、部門長、人材育成責任者
・人や組織の本質的課題に向き合いたいと考える層
・すべてのマネージャー
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本日の記事は前回の続きです。
▼前回の記事はコチラ▼
https://mbp-mj.jp/management_1/
■今回の記事の目次:
4.バブル崩壊と成果主義ノルマ化期(1990〜2000年代前半)
→MBOが評価制度として普及し、数値ノルマ化、やらされ感が蔓延する
5.KPI至上主義期(2000年代後半〜2010年代半ば)
→IT化により短期指標がマネジメントを支配、人がマシーンになる
▼以下、本編▼
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【バブル崩壊と成果主義ノルマ化期:1990年代〜2000年代前半】
バブル崩壊後、「成果主義」の旗の下でMBOが再輸入されるが、日本的管理文化のフィルターを通して解釈された結果、成果主義は「自己マネジメント」ではなく「上司や組織要請による数値ノルマの配分」として制度運用されるケースが多発する
1990年代:バブル崩壊+「成果主義」という名の「ノルマ主義」
- バブル崩壊で終身雇用や年功序列の維持が難しくなり、米国型成果主義の導入が「痛みを伴う改革」の象徴として正当化されやすくなる
- 成果主義の本格的流行は1995年前後、きっかけは経営環境の悪化とともに日経ビジネスや経済誌が外資系の制度事例を大々的に紹介したこと
- 外資系企業に倣い導入された「評価連動型MBOパッケージ」は、当初こそ「自律的目標管理」を掲げていたが、多くの現場では「評価のための目標設定」へと機能転換された。制度設計支援を担ったベンダーも、この変質を前提とした「評価制度パッケージ」としてMBOを再構築し、結果的に「管理強化ツール」としてのMBOが定着することとなった
- 「部下が設定する目標」は形骸化し、上司が数字を割り振るスタイルが標準化
- 「日本版MBO(上司が部下の目標をノルマとして締めつけるバージョン)」が一般的に広まり、ドラッカー本来の意図(自己の成果責任と自律的行動計画)とは真逆の運用がなされる
- 現場では「目標=達成すべき数字」、「達成度=評価・給与」の直結構造が定着
2000年代前半:ノルマ管理として完全定着
- IT化により数値進捗がリアルタイムで可視化されるようになり、“管理”色がさらに強化
- ERP(SAP、Oracle)やSFA(Salesforce初期)が普及し、数値可視化がリアルタイム化
- 2000年代半ばには「MBOシートの締切=評価面談」という儀式化が定着し、運用プロセスが人事考課の一部に固定
- ITによる「マイクロマネジメント」加速で、現場裁量や自己マネジメント性はほぼゼロになり、本来のMBO思想「部下が主体的に目標設定し自己管理する」はほぼ形骸化する
【バブル崩壊と成果主義ノルマ化期の補足解説】
- 成果主義=外資礼賛と“制度ビジネス”の輸入:1990年代半ば、日経ビジネスや経済誌が「外資系の成果主義制度」を成功物語として紹介し、日本企業はこぞって追随した。だが実際には外資でも成果主義運用は試行錯誤段階であり、日本では「制度パッケージ」をベンダーが売り込み、人事制度の商材化が進んだ。これにより「成果主義=ノルマ化したMBO」の固定化が制度的に加速した。
- “自己マネジメント”思想の完全な抜落ち:ドラッカーのMBOは「Objectives and Self-control」であり、本来は自律的な目標設定と自己統制を意味した。しかし日本では「目標=上司が割り振る数字」「自己統制=上司の監督の徹底」へと転化。成果主義の導入期に「自己マネジメント」という思想が一度も根付かなかったことが、後の制度疲労の根因となった。
- IT化がもたらした“監視装置化”:2000年代前半、ERPやSFAの普及で、進捗・数値がリアルタイムで可視化されるようになった。これによりマネジメントは「部下の自律性を支援する仕組み」ではなく「部下を逐一モニターする監視システム」として強化された。IT導入の目的は効率化だったが、結果的には「管理文化」を一層強固にする作用をもたらした。
【KPI至上主義期:2000年代後半〜2010年代半ば】
KPIや数値指標がマネジメントの中心に据えられ、成果管理がより短期的・定量的なものへと偏重。「本来のMBO」はさらに形骸化し、「数値達成」優先の硬直的な運用へ
2000年代後半:ノルマ管理的な運用が制度の中心として定着
- ERPやBIツールが導入され、数値モニタリングがリアルタイム化
- リーマンショック(2008)後、短期的な収益指標の圧力が急増する
- BI(Business Intelligence)ツールとダッシュボード文化が広がり、「朝会でKPIを確認→夕方に進捗を詰める」が日常化する光景が一部企業で広がる
- 「目標=戦略目標」ではなく「目標=短期数値」に転換、上司は「データを見て数字を詰める役」、部下は「数字を出す駒」という関係が固定化
- 中期的な人材育成や価値創造よりも、短期指標の達成が最優先となる
- 若手の間で「MBO=上司に詰められる場」として一部では認知が固定化、悪名が広まり制度疲労を起こす
- 2010年代半ば以降、一部企業でOKRやアジャイル型目標管理への移行が試みられる
【KPI至上主義期の補足解説】
- IT・可視化文化が“監視”へ傾斜:2000年代後半にERPやBIが普及し、リアルタイムに進捗を追える環境が整った。だが本来は「データドリブンな意思決定」のための技術が、日本企業では「上司が日次で詰める監視装置」として使われるケースが多かった。テクノロジーがマネジメントの質を高めるのではなく、「管理文化」を補強する方向に働いてしまった。
- リーマンショック後の“短期指標信仰”:2008年以降、多くの企業が収益悪化に直面し、「四半期ごとの数字」達成が最優先課題となった。この環境下では「人材育成」「イノベーション」といった長期テーマは後景に退き、マネジメントは数字を切り盛りする“消防活動”に矮小化された。
- 制度疲労と新手法への模索:2010年代半ばにはMBOやKPIの限界が露呈し、若手層からは「詰められる場=MBO面談」という悪評が固定化。こうした制度疲労の反動として、Google発のOKRやアジャイル型目標管理が一部企業に取り入れられ始めた。これは「自律性と透明性を取り戻す」試みであり、従来の“ノルマ管理型MBO”からの脱却を目指す動きだった。
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前回から続く今回の記事は、
まずは草案をまとめております。
全3回に分けてお届けします。
草案そのものはブラッシュアップを
続けておりますので、適宜のタイミングで
当社クライアントにご提供する所存です。
【本コラムの最後に】
100年続いた「上司が管理する時代」は静かに、
しかし確実に終わりを迎えています。
その先に訪れるのは、人とAIが協働し、
管理から解放された「生成の時代」。
では、そんな時代において
「マネジメント」はどんな思想を持ち
どのように設計されるべきなのか。
その3では
人的資本経営や伊藤レポート、
本当の意味で人を活かし、
人とAIが互いの力を最大限に
引き出しあうための、
本質的な経営戦略と人事戦略の
連動と具体的な実践方法について
書いていく予定です。
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■<3>編集後記&お知らせ
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今回の全3回(予定)シリーズは、
わたしが当社
株式会社マネジメントバイフィロソフィアを
設立して、最も発信したかったことです。
それは、
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マネジメントは管理ではない。
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ということ。
上司が部下の目標をノルマとして
締め付けるのではなく、
・自社の哲学の確立
・知と愛
・探究心と本質
によって
人を、そして組織をマネジメントしていく。
人も組織も、
【自律型で、生きていく】
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それが、これからの時代の
「マネジメントのあるべき姿」である
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次回は最終回の予定です。
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▼過去のコラムはコチラ▼