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【MBP】世界のMJ通信
【自律型で、生きていく】
<2025.6.11号 Vol.015>
魂の投影とAIプログラムの両義性を
併せ持つ「コーチのレベル別習熟度」に
関する個人的考察
株式会社マネジメントバイフィロソフィア
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■<1>MJの近況
■<2>魂の投影とAIプログラムの両義性を
併せ持つ「コーチのレベル別習熟度」に関する個人的考察
■<3>編集後記&お知らせ
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■<1>MJの近況
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最近、わたしたち「対人支援職」の界隈では
(対人支援職界隈に限らずと思いますが)
人間はどこまで対人支援や組織開発の
仕事の領域を保持するのか?
今後も飛躍的な発達や発展が予想される
AIは、どこまで人の仕事を代替しうるのか?
の議論が盛り上がっているように思います。
てゆうか盛り上がってます。
というわけで、前回の
「レベル別研修講師の習熟度」に引き続き、
今度は「コーチ」という仕事について
考察をしてみたいと思います。
また、一見全然関係なく見えますが、
当方は何年か前に
クリストファー・ノーラン監督の
「インターステラー」を海外へ移動する
飛行機の中で観る機会があり、
飛行機の中で5回ほど号泣しました。
ネタばれは避けますが、その映画における
「人と機械の対話と交流」からも
示唆を得て、本コラムを書いています。
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■<2>魂の投影とAIプログラムの両義性を
併せ持つ「コーチのレベル別習熟度」に
関する個人的考察
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本日のコラムの想定読者:
主対象:コーチやカウンセラーを
はじめとする「対人支援職」に従事する方
副対象:「インターステラー」のような
壮大な人類叙事詩に興味がある方
※インターステラーは「科学と愛」が媒介
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先週のコラムに引き続き(先週は研修講師)
今回はMJが個人的に整理した
「コーチのレベル別習熟度」をお伝えします。
現在、コーチやカウンセラーといった
対人支援業務に従事されている方も
これからコーチを目指そう!という方も
何かのご参考になれば幸いです。
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「コーチ」の5段階、レベル別習熟度
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■レベル1:型習得・形式依存フェーズ(1年目、50セッション程度 ※モニター・実践セッション含む)
・コーチングスクールを卒業し、一定の型は学んだものの、「8割聞いて2割話す」など形式的なフレームに縛られているレベル
・質問の深さや意図はまだ表層的で、クライアントの発言に対して「聞く・待つ」姿勢はあっても、構造的な意味変容を起こすには至らない
・単なる練習ではなく、多様な人の内省支援を通じて「問いかけ」、「傾聴」、「承認」、「要約」などのスキルを反復的に鍛える段階
・「型を超える」ためには、まずは型に徹底的に染まりきる経験が必要
・50本程度のセッションを通じて、「相手の内面に向き合うことの本質」や「その人らしさを支援する意味」が芽生えてくる
■レベル2:関係形成・自己開示拡張フェーズ(1~2年目、50〜150セッション程度 ※最低100セッションに到達するとより確実)
・レベル1での「型通り」のセッションから脱して、より多様なクライアントの感情・価値観の揺らぎに向き合う経験が増えてくるレベル
・「質問すれば解決する」という浅いロジックから、「問いはクライアントの内面を揺らす装置」という感覚に変わり、初めて「関係性の質」を実感的に理解できる
・クライアントの話を聞いていると、「表面的な課題」ではなく「その人の奥底のテーマ」に気づく場面が増える
・クライアントが「自分もこの人に本音を話してみたい」と思える信頼感を築く挑戦が始まる
・コーチ自身も自己開示を少しずつ取り入れ、「関係の質」を高めようとし始めるが、まだ「専門家としてサポートしなければ」という意識が強く、対等性や共創性の体現には課題が残る
■レベル3:変容促進・共創対話フェーズ(3年目、300セッション程度 ※継続クライアントのセッションが増える時期)
・クライアントとの間に“共に探究する関係性”を築き、問いを通じてクライアントの意味づけや認知構造そのものに変容を促すことができるレベル
・「ゴール達成」だけでなく、「その人らしい選択」や「本質的な自己との接続」を支援することが可能になる
・ここで初めて、「コーチングって、上下関係ではなく共に問い、共に考え、クライアントの未来を一緒に編み直すパートナーなんだ」という実感を伴いやすい
・単なる情報収集の質問ではなく、クライアントの「今までの当たり前」を揺さぶり、思い込みや価値観そのものを再構造化するような問い(メタ認知への問いかけ)が増える
・ゴール達成支援だけでなく、「その人らしさ」や「魂の声」のような深いテーマに踏み込む覚悟が芽生える
■レベル4:構造統合・場の生成フェーズ(5~7年目、300セッション以上、※継続クライアント・多様なテーマの案件経験あり)
※主なクライアント層:エグゼクティブ、ミドルマネジメント、リーダーシップ開発、組織変革プロジェクトなど
・単発のセッションを超えて、クライアントの人生やキャリアの文脈全体を見据えた長期的・戦略的なコーチング設計(プロジェクト型コーチング)ができるレベル
・レベル3までの積み重ねで得た「問いの技術」や「対話力」を超えて、コーチ自身が「存在としてのあり方」や「場の空気感を生成する力」に目覚め始める
・心理学・成人発達理論・組織論など多角的な知見を統合し、クライアントの「物語編集者」として機能する
・クライアントの話だけでなく、その場に生まれる関係性・問い・空気感を総合的に編み込み、変容の場を生み出す存在になる
・AIが再現できない、ナマの対人感覚とメタ認知(同時に場の全体性を俯瞰する感覚)、「今ここ」の場を読む直感や、多層的文脈の統合力が求められる
■レベル5:実存変容・哲学統合フェーズ(7~10年目、500本以上 ※多様なテーマ・多様なクライアント・多様な場を経験済)
※主なクライアント層:エグゼクティブ、起業家、リーダー、社会変革者、社会課題解決者など
・内観深度が人間存在の最奥まで達しており、「人間とは何か」、「世界とは何か」、「わたしたちはどこから来て、どこへ向かうのか」といった哲学的命題に対する明確な洞察を持つレベル
・コーチ自身が「人間存在とは何か」を自ら問い続け、その問いを生きて体現している存在であることが必須
・そこで生じる対話自体が、クライアントにとって「人生の分岐点」となるような創発的な場を生成できる存在
・哲学、宗教、心理学、成人発達理論などの複数分野を統合的に探究し、ときにはクライアントの痛みや葛藤、人生の根源的な問いに伴走し続ける胆力と謙虚さを持つ
・AIやプログラムがどれだけ高度化しても再現できない、「その人とわたしだからこそ生まれる唯一無二の場」を創れる人間存在
以上が、MJが個人的に整理した
「コーチのレベル別習熟度」です。
あくまで目安としてご参照ください。
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これは人間のコーチもAIのコーチも
同一ですが、根幹に据えるべきは
「倫理」です。人間としての倫理観です。
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機械ないしはプログラムには、
「人間の集合知」としての倫理観を
予め設定する必要があります。
そのうえで、これは人間にもAIにも
あるいは進化の果てにある
ロボットにも共通ですが、
・ユーモアレベル(おもろいかどうか)
・誠実度(正直度)
・ミッション優先度(使命全う)
これがある種、人間を人間たらしめる
そして「AIに魂を投影する人間側の責任」
という整理、あるいは理解です。
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結語:人間もAIも「プログラム」と
「魂の投影」の両義性を生きている
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AIの振る舞いやアウトプットは、
予め設計者によって
設定されたプログラムですが、
そこに「魂」を見出すのは人間です。
そして人間自身もまた、社会のルールや
価値観という「プログラム」に沿って
動く存在です。
しかし、
人間は同時に「自ら選ぶ意志」を
持ち、そこに“魂”を投影します。
AIと人間の関係性の核心は、
「プログラムを超えて魂を
見いだすことができるかどうか?」
そしてその投影行為に人間側の責任が
あるという点に尽きる、と考えます。
前回のコラムの繰り返しですが、
生成系AIの進化は著しいですし、
AGIも実装段階ですし、
そのうちASIも社会に実装されるかもです。
※AGI=汎用人工知能、ASI=超知能
果たしてどこまで、「今」人間が担っている
仕事は代替されるでしょうか?
やはりコーチングに関しても、
「レベル4以上」であれば
今後もしばらくAIに代替されることは
ないであろう、と踏んでいます。
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あなたはどのレベルに当てはまりますか?
ぜひチェックしてみてください!
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研修講師とコーチ以外に、
アセッサーと組織開発ファシリテータと
組織人材マネジメントそのものも、
レベル5まで作成しました。
追ってそれらも公開していきます。
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■<3>編集後記&お知らせ
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当社はマネジメント人材を育成する
コンサルティング会社として、
マネジメント人材のマネジメント力の
評価と強化を主たる生業としています。
当社は、マネジメント力を
人間力=人としての器≒魂の器
と定義していますが、すでに
人材アセスメント界隈では、
「人の器」は測れるものという
認識が最先端ですし、
「人の器」を測るAIも、
かなりの部分まで実装段階の
フェーズです。
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果たして人間は、
自分たちがつくったAIを使うのでしょうか?
それとも使われるのでしょうか?
それともパートナーとして
共生するのでしょうか?
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それは「人類」という種の判断と決断と
行動次第ですね。
なんだか、めっちゃでかい話になってしまいました。
今回は「コーチ編」をお届けしました。
次号は「アセッサー編」を予定しています。
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「本物のマネジメント人材」を育成する7つのステップ